リレーコラム



2014年7月
リレーコラム『SCMと在庫管理』  
     株式会社日通総合研究所顧問 長谷川 雅行
 
 SCM(サプライチェーンマネジメント)が注目されて、既に20年近く経つ。SCMを実現するには、「調達管理」「生産管理」「在庫管理」「出荷管理」「原価管理」「情報管理」などを、「単体」ではなく「連結」で行わなくてはならない。

 資材管理士講座で筆者が担当している「在庫管理」も、サプライチェーン全体のなかで、いかに在庫(原料在庫・資材在庫・仕掛品在庫・製品在庫・流通在庫)を極小化するかが課題となっている。

 とくに、最近は、在庫管理や在庫責任をサプライチェーンの上流にシフトしようという動き、流通業や組立メーカーから強まっており、それが、サプライヤー等の経営課題となっている。
  具体的には、VMI(ベンダー・マネージド・インベントリー)や預かり在庫と呼ばれている。
目の前に原材料・部品あるいは最終製品(商品)という形で、在庫そのものは置いてある。
ところが、「これは我が社の在庫ではなく、ベンダー・サプライヤーの在庫だ。我が社は、1個使ったら(あるいは1個売れたら)、その分だけ引き取る。在庫責任はベンダー・サプライヤーにあり、欠品は許さない」と、資産を身軽にしてROAを高めようとしている。
筆者は、こ れは「川上への在庫の押し付け」ではないかと思っている。

 いま、公取委では、センターフィーが独禁法上の優越的地位の濫用に当たらないか調査を進めているが、そのなかで、強制的な「預かり在庫」も注目されている。本来は買い取り責任があるPB商品ですら、預かり在庫としている量販店もあると聞く。
 
 サプライチェーン全体の中で、どこ(川上か川中か川下か)に、どのような形(原材料か部品か最終製品か)で在庫を置くか。在庫が極小化となり、また、納入リードタイムが最短となるようなロジスティクスの構築に向けて、全プレーヤーが十分に協議することが必要と思う。
 
 そうでなければ、川上で在庫を抱えて疲弊してしまい、「連結」原価や、「連結」顧客サービスが低下してしまって、SCM自体がうまく回らなくなってしまうのではないかと、危惧するところである。もう一つ、わが国の流通業や組立メーカーの悪いところは、国内でのやり方を、海外のベンダー・サプライヤーにも押しつけようとすることである。ウォルマートなどとは比べ物にならないほど取引高は少ないのに、JITだVMIだと言っていると、新興国の川上からもソッポを向かれかねないのではなかろうか。



 
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