リレーコラム



2015年4月
「調達組織の活性化」 
     調達科学研 代表 藤田 敏
 
 つい最近、老舗の一部上場メーカーでの調達課長との打ち合わせの中で、「士農工商犬猫資材」という言葉を久しぶりに耳にした。筆者が若きバイヤーであった何十年も前に社内ではそのような自虐的な言葉が存在していたが、昨今のようなグローバル化の中において、調達部門の役割が飛躍的に高まっているにもかかわらず、未だにそのような実態があることに驚きを禁じ得なかった。

 多くの企業が勝ち残りを賭けて変革の真っただ中で光明を見出そうと努力を続けているのに対して、調達部門自身の役割認識が高度成長期のまま留まっているとすれば、そのような時代錯誤の地位に甘んじざるを得ない。いずれは人工知能を有するロボットに替わられる運命であろう。

 グローバル競争の中で利益貢献するということは、原価低減という側面が調達としては一義的ではあるが、売上機会や効率的資金運用を阻害する要素を、関係部門を巻き込んで排除することも重要な役割である。さらに顧客満足を追求しつつ「売り手良し、買い手良し、世間良し」を実践する経営者感覚も必要となる。

 このように、調達に求められる期待は増大する一方であるが、活動計画において追加施策ばかりを網羅してしまうと、他方では効率化を求められている訳であるから、消化不良を起し、組織は疲弊してしまう。これでは重大な士気低下を招くだけである。

 やるべきことを挙げるのは容易いが、同時にやめることを決めることこそが本当の戦略である。事業方針達成に向けての優先順位がしっかり整理されていてこそ、やめることを果断に決断できるのであって、調達責任者がまず肚落ちした方針と目標を、納得感をもって部員全員と共有することが、部員のモチベーションを云々する前に行うべき重要な組織風土つくりのスタートラインである。 



 
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