リレーコラム



2016年1月
「調達部門は最悪の敵?なのか」 
     調達科学研 代表 藤田 敏
 
 2013年8月Harvard Business Reviewに「The Problem with Procurement」という、 調達に携わる人にとって非常にネガティブな記事が掲載された。文脈としては、調達部門は取引先にとっても、要求部門やその他社内関連部門にとっても「最悪の敵」となっているという辛辣なものである。このようなよどみのある職種を業界の新人たちはキャリアパスとして選ぶことはないだろうとも締め括っている。

 この記事は欧州とアジアの200人ほどの調達幹部への聞き取り調査分析から書かれているのであるが、アンケート結果をよく見てみると私は違った感想を抱いた。 調達部門は頻繁に取引先からのマーケット情報や新製品の紹介、ビジネス提案を受けているかという質問に4~5割弱がYesと答えている。文面ではほとんど触れていないが、ここは圧倒的に低いと思う。8~9割以上なければ調達業務を遂行しているとは言えない。

 一方、サプライヤーからの提案を改善に生かしている調達部門は3分の1程度、社内にその知見を共有しているのは2割、サプライヤーが自社をどのような顧客として位置付けているかを知っている調達マネジャーは17%しかいない、このような有様ではサプライヤーも調達マネジャーに時間を割きたくないだろうとしている。ここは大いに異論があるところで、取引先からの提案も玉石混交、使える情報は決して多くはない。その選択眼が調達マネジャーの真骨頂である。ただ取引先からの提案を何の付加価値も付けないまま垂れ流すのはもっと始末に悪い。

 取引先の営業は、如何に調達部門を経由せずにビジネスを成立させるかの訓練を受けていると書かれているが、良い意味で恐れられているのであれば結構なことである。いたずらに取引先に迎合したり、取り込まれたりすることなく、自らの能力を高め、しっかり調達の正道を極めていってほしい。

原文参照: https://hbr.org/2013/08/the-problem-with-procurement  



 
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