リレーコラム



2016年4月


「利は元にあり」 

     株式会社NRIJ 代表取締役社長 観音寺一嵩
 

 数十年前のことです。転職先の衣料品専門店チェーンのオーナー社長が、朝礼で「利は元にあり」と大声で言いました。当時、別業界から来た私には、その意味が分かりませんでした。 
その後、上司から「利益の大本(おおもと)は仕入れ時にあり、だから、仕入れが何よりも重要なのだ」と教えられ「小売業も売ることがすべてではないのだ」と、変に感心したことを覚えています。

 それ以来、仕入れ(調達)の重要さを実感している私ですが、過日、『戦略的交渉力セミナー』を某メーカー(東証1部上場)の資材部門対象で実施した時のことです。
研修後、同社の執行役員兼資材部長から「やはり、バイヤーにも教育が必要だということが、よくわかりました」と仰るので、私のほうが「えっ!」と驚きました。
続けて、同部長は「実は、今回のようなバイヤー向けの外部セミナーを、私は初めて傍聴しましたが、大変勉強になりました。

 私どもの頃は、バイヤーは強い立場なのだから、誰にでもできる仕事と、社内でも軽視されていましたから、教育らしいものを受けずに今日まで来てしまいました。
 だから、バイヤーに成り立ての頃は、私も、上司や先輩の後ろ姿を見て学んだのですが、本当に、そのやり方で良いのかと半信半疑になったことがたまにありました」と語ってくれました。
また、別のクライアント企業の購買部門でも「当部署では、相手に舐(な)められるな! 購買・調達の役割は、いかに安く買い叩くかだ、という考え方が伝統的にありました」という声を多く聞きました。
 もちろん、そのような強い立場を乱用した「Win/Lose」の交渉をしていたら、どんどん世間を狭くし、真の協力者がいなくなり、最後には「Lose/Lose」になってしまいます。
つまり、自分で長期に亘る成果の芽を摘み取っているようなものです。

 私の講座では「信頼関係をベースにした交渉力」を標榜していますので『交渉に臨む心構え』も「Win/Perceived Win」(自分がしっかりと成果を勝ち得たにもかかわらず、相手にも「譲ってもらった」と思ってもらえるような交渉)を推奨しています。
 そして、バイヤーの方には「あなたのファン(あなたのために、頑張ってくれる人)を、常日頃から、多く作っておきましょう」とアドバイスしています。
相手は『敵』ではなく『パートナー』です。「利は元にあり」をお忘れなく。


※観音寺氏のセミナーは 6月16日(木)信頼関係をベースにした価格交渉力の強化





 

 

 

 

 

 

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